孤独の解消と地方雇用の創出を
大阪から発信する

社長ブログ

隣国で静かに発展していたプロダクションの生態系

以前の「アジア圏の視野で考えると可能性が無限大に広がる。」でお伝えした通り、中国においてはLive配信サービスがここ5年ほどでとてつもない規模に成長しています。2018年3月にその実態を認識し自社のサービス改善に繋げる目的で北京のLive配信関連企業を視察して参りました。

 


 

■視察先 MJエンターテイメント http://www.mjyule.cn/


YY花椒など中国の大手プラットフォームに対して人気配信者(KOL=Key Opinion Leader)を提供するプロダクション企業となります。

 

元々、映画業界にいたCEOがLive配信の可能性を感じて2~3年前に立ち上げた組織で、既に3000名の登録があり、年商50億円近くをあげています。登録者は在宅と通勤にわけられるようですが、成績優秀者は通勤をしてもらい、徹底的なサポートを受けて、稼ぐノウハウを伝授されます。トップKOLは年間売り上げが1.6億円となり、報酬ベースで言うと5000万円以上(料率は30%として)は受け取っているとされます。

 

 

北京ブースでは60部屋ほどあり、全てカラオケボックスのように完全個室となっています。6畳ぐらいあるお部屋で女性っぽい部屋や男性っぽい部屋など、内装が工夫されています。(とてもお金がかかっている)

 

 

中国のインターネットコンテンツにおいて表面的にはアダルトサービスはありませんので、歌や踊りやトークなど、エロ以外の要素で顧客を引き付ける必要があります。北京では、ロシアにも近い為、ロシア人との混血になると美しい女性も多い。容姿端麗というのは大前提条件となり、その上で、プラスアルファの要素がどれだけ高いかがポイントになる。

 

 

配信中一覧には綺麗な女性が並びます。ロシアの混血系の方も多いようで美しさは徹底的に求められる。ただ、それだけでは売れない。美貌に加えて+αのタレント性が求められる厳しい競争環境が中国系Live配信の実情。

 

 

美貌に加え、プラスαの要素を身につける為、プロダクション側も様々なアプローチで配信者を養成していく。


 ・ボーカルトレーニング
 ・ダンストレーニング
 ・心理学研修
 ・メイク専門スタッフ
 ・担当マネージャー
 ・売れると専用部屋付与


などなど、芸能事務所以上のバックアップがあり、配信が終われば、担当マネージャーと一対一の反省会が行われ、数値化された分析結果がフィードバックされるようです。

 

 

男性の配信者でも年商(ユーザー売上ベース)で1億5000万円強を叩き出す事は可能。KOLは女性の為だけの単語ではありません。

 

 

本社の上海で年に1度開催される社内アワードの様子。多くの関係者やメディアを呼び、活躍した自社のKOL達を表彰しモチベーションを高めている。KOLの社会的地位を高め憧れの対象として昇華させる秀逸な施策。このような全体設計が功を奏し、KOL志願者は後を絶たない。

 

 

こういったアワードが配信プラットフォーム主催ではなく、プロダクション独自での単体開催であることが驚き。

 


中国のLive配信が流行り、多くの人が利用し多額の売上が発生する背景には、このようにKOLプロダクション業に精通した組織があり、それらが切磋琢磨しながらコンテンツを日々磨いている結果だと感じました。配信プラットフォーム企業が技術的にもマーケティング的にも秀逸だという認識はありましたが、その経済圏にあるプロダクション企業までこういった形で変化成長しているという認識が一切なかった。

 

 

「隣国で静かに発達していたプロダクション文化」

 

 

今回、北京で得た大小様々な知見(と衝撃)はスグに日本に逆輸入しなければならない。
弊社はLive配信サービスを専業として深堀しており、パイオニアと自負していた節がありましたが、まだまだ勉強不足であり探求が足りていないと痛感。

 

 

外部からの視察に対して寛容に受け入れいくれた。競合になりうる相手でも自社の強みをオープンに語ってくれます。MJエンターテイメントはマーケット拡大に対して貪欲に突き進む開かれた文化を持つIT企業でした。MJ広報を務める中国人スタッフ(写真右)

 

 

今、Live配信マーケットはアジアを軸に最盛期を迎えていきます。中国・台湾などの企業もどんどん日本に進出してきており群雄割拠な状態。これからは日本国内の競合他社様と勝った負けたの狭く小さい視点ではなく、より俯瞰した大きい視点で切磋琢磨すべき相手を再定義し、顧客に届けるサービスを底上げしていくべきだと感じました。

 

 

※今回の北京視察に関しては、株式会社アイディール社のサポートにより実現いたしました。

 


 

■買い物カゴが天井を這うITスーパー

 

アリババ集団(タオバオ)が出資するユニークなスーパーマーケットがあるという事で、北京市内にある「盒马新鮮(ハーマーシェンシャン)」という、見た目ごく普通の食料品店を視察しました。

 

 

 

店構えは普通ですが、中に入るとまず目に入るのが天井を這うようにしてレールで移動する買い物カゴ。

無造作に、いくつもの買い物カゴがスーパー店内を駆け回っている。(異様な光景です。)

文字で説明するのが難しいので、百聞は一見にしかずという事で、まず動画をご覧ください。

 

 

 

このスーパーマーケットのコンセプトが尋常ではありませんでした。EC配送にも最適化された完全IT対応店舗でした。実店舗内で当然普通に買い物もできますが、専用のiPhoneアプリから生鮮食品を注文できます。近隣(店舗から半径3㎞以内)に住んでいる方であれば、30分程度で配送してくれます。

 

しかも、100円の卵であっても送料は全て無料!

 

 

 

実店舗の在庫と完全連動して使いやすいアプリ。AppStoreでダウンロード可能です。サクサク動くアプリで快適に商品を選べます。オンラインとオフラインをシームレスに繋ぐ秀逸なプロダクト。

 


店舗でも普通に売っている商品なので、それらを店頭に並べつつも、EC向けも両面で販売をしています。つまり、店舗そのものが倉庫になっている。

 

 

一等地の冷蔵庫付き「物流センター」

 

 

という表現をどこかのブログで見つけたが、本当にそれは的確な表現ですね。

 


一般のECサイトであれば、翌日配送とかでも全く問題いないが、食品(しかも生鮮食品)となると翌日ではまったく意味が無い。そうなってくると、配送センターが地価の安い僻地にあると、配送までの時間がどんどん長くなってしまうというジレンマ。そこを解決するために、利便性ある都市中心部に実店舗を構え、そこで従来通り顧客を呼び込みつつ、その店舗自体を冷蔵庫として兼務させることで、今までの考え方ではありえないほどの好立地に物流センターを構えることが可能になる。まさに、目からうろこです。

 

 

店内全てがIT管理されているので、在庫状況が把握されている。上の動画のように専門のピックアップスタッフが最適なルートで商品をカゴにいれて、店舗内で梱包し、バイクスタッフにより短時間で届けられる。Amazonの「ホールフーズ」買収も同じような狙いがあると聞いていますが、中国の方が実用面においては1歩2歩先をいっている感じがします。(なんといっても、構想からリリースするまでのスピードが速すぎる…。)

 

次々配送される商品を待つバイクスタッフ。報酬は成果報酬(届けた分だけ)となっており意欲的に働いてくれるようです。中国の所得格差が安価な配送を実現しており、先進的なO2Oサービスには低所得者による下支えが欠かせません。日本での再現はかなり難しそう。

 

 

上海で10店舗ほど構えているようですが、今後は北京やその他の一級都市にもどんどん進出していくようです。

今回訪れた、北京の店舗は過去「イトーヨーカドー」が入居していたようで、日本企業が業績不振から撤退した同じスペースで、同業態なのにコンセプトが全く違うスーパーマーケットにリプレイスされ爆発的に成長している事実を垣間見て、日本人として複雑な気持ちになります。

 

 



■北京視察を経て

 

IT業界でビジネスをしている事業者として、強く意識しなければならないのが、中国はアメリカと肩を並べ発展を遂げていくIT立国になるという事。昭和・平成の時代はアメリカをベンチマークし、そこをローカライズ(タイムマシン経営)して日本で展開すれば一定の成功が可能だった時代でした。次の元号では中国も同様にとらえておくべき時代に間違いなく突入していると感じます。

 

北京の中関村というアジア屈指の大学(北京大学・精華大学・人民大学)などが密集しており、そこに優秀な学生が世界中から日夜研究に明け暮れている。そこにIT企業が産学一体のベンチャーを立ち上げ、新しいサービスが続々と生まれている。そういった背景を感じる中で、自社の新しいサービスなどを考察する際も、中国ではどのようなトレンドになっているか?中国のベンチャーキャピタルはどのような分野に投資を行っているか?を定点観測しておく事で活きた情報を武器に変えていけると思います。

 

中国はEVで世界席巻を狙っています。NIOという中国版テスラモーターズはこのようなスーパーカーを発表し150万ドルで発売をしています。EVの時代に突入した事で、車業界全体がガラガラポンが生じる可能性は十分にあります。その急先鋒に中国企業が躍進している確率は高い。

最新記事

カテゴリー

リンク